【書評】成瀬は信じた道をいく(宮島未奈)あらすじ|面白い?つまらない?

青春

成瀬は信じた道をいく

著者:宮島未奈
出版社:新潮社

 成瀬シリーズ第2作『成瀬は信じた道をいく』。前作が話題になったけれど、「続編も面白いの?」「つまらなくなっていない?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

 結論からお伝えすると、前作同様に好き嫌いは分かれるものの、成瀬あかりの魅力は健在で、シリーズファンなら見逃せない一冊です。

 この記事では、ネタバレなしで「つまらないと感じる人がいる理由」と「それでも読んでほしい理由」の両方を、正直にお伝えします。

あらすじ

 京都大学を受験することにした成瀬あかりは、父と共に受験会場へ行き、そこで試験会場である大学敷地内にテントを立てている男子受験生を見つける。
 成瀬あかりはその男子受験生に声をかけると野宿をするつもりだと言うので、「それならうちに来たらいい」と自宅へ泊めることを提案し、父は困惑しながらもそれを了承する。
 大学生となった島崎みゆきは、自身が生活する東京から成瀬あかりに会うため、年末に成瀬家を訪ねるとそこには困惑した様子の成瀬あかりの両親の姿があり、島崎が事情を尋ねると、成瀬あかりは「探さないでください あかり」と書き置きを残し姿をくらましてしまったという。

成瀬は信じた道をいくが「つまらない」と感じる人がいる理由

 『成瀬は信じた道をいく』を「つまらない」と感じる人がいるのも事実です。主な理由は次の3つです。

・前作と作風が大きく変わらず、良くも悪くも安定していると感じる
・成瀬あかり本人ではなく、周囲の人物視点の話が多い
・大きな事件よりも、日常のささやかな出来事が中心

 たしかに、派手な展開やシリーズの大きな進展を期待すると、物足りなく感じるかもしれません。

 ただ、これらは裏を返せば成瀬シリーズならではの味わいでもあります。次に、それでも読んでほしい理由をお伝えします。

成瀬は信じた道をいくが「面白い」と言われる理由・見どころ

 本書の見どころは、前作「成瀬は天下を取りにいく」と同様、主人公「成瀬あかり」の確固たる信念に基づいた行動や言動、それに影響を受ける周囲の人々です。
 本書でも相変わらずの成瀬節が発揮されており、それに対する新たな相棒、びわ湖大津観光大使の「篠原かれん」のツッコミは思わずクスリと笑ってしまいます。
 本書は全五章で構成されており、一つ一つは独立した話で読みやすく、最終章ではそれまで関わってきた人や出来事がきれいに収束されており、サクサク読めつつ、読み応えのある内容となっています。
  第一章 ときめきっ子タイム
  第二章 成瀬慶彦の憂鬱
  第三章 やめたいクレーマー
  第四章 コンビーフはうまい
  第五章 探さないでください

成瀬は信じた道をいくの総合評価と感想

 『成瀬は信じた道をいく』の総合評価は ★★★★☆(4.5/5)です。

 大人気シリーズの続編として、前作の魅力を保ちながら、成長した成瀬あかりの新たな一面を見せてくれる一冊でした。京都大学に進学した成瀬を軸に、周囲の人々との関わりが丁寧に描かれます。

 正直な感想としては、前作同様に成瀬のブレない生き方が読んでいて気持ちよく、シリーズファンなら間違いなく楽しめる内容です。「探さないでください」の書き置きなど、続きが気になる展開も健在。成瀬シリーズが好きな人には自信を持っておすすめできます。

こんな人におすすめ

 前作「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ人はもちろん、最近難しい本ばかり読んでるな…なんか軽く読める小説ないかな…などと考えている人におすすめです。
 本作では、成瀬あかりの周囲の人々を通して、友達付き合いの悩み、娘の大学進学を機に子離れが迫ってくる親の心境や、家族関係に悩む女子大生の心境などがきれいに読みやすく描かれており、ページをめくる手が止まりません。
 あっという間に読み終わること間違いなし!ぜひ一読を!

前作「成瀬は天下を取りに行く」のレビューはこちら

成瀬シリーズ全3作の位置づけと読む順番は、こちらのまとめ記事で解説しています。

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