説明がつかない現象と私が生徒会に入った説明
著者:葵 日向子、木爾チレン、狐塚冬里
出版社:西東社
目次(章構成)
- 第1話(生徒会) 説明がつかない現象と私が生徒会に入った説明
- 第2話(野球部) バケツと虹
- 第3話(合気道部) サイレント・サポーター
- 第4話(ミュージカル部) この声が響くまで
- 第5話(バレーボール部) 165センチの光
- 第6話(吹奏楽部) 姿の見えない演奏者
- 第7話(図書部) 二人だけの冬の森
- 第8話(友達レンタル部) 友達がいない
- 第9話(美術部) 桜の夢の跡
- 第10話(生徒会) 彼女と彼と、彼と彼女の噂
あらすじ
この世には、ふたつの現象があります。
一つは説明のつくもの。
もう一つは、説明のつかないもの。
私は後者を愛しているのですがー
心霊現象などの説明のつかない現象をこよなく愛する高校二年生・倉敷真弓(くらしきまゆみ)は、清霞高校生徒会長の渋谷星璃華(しぶたにせりか)から生徒会入りを打診される。しかし彼女には、入学からずっと気になっている現象があった。
それは、高校の敷地内にある一本の桜の木。
その桜の木は、枯れていないにもかかわらず、三年前から春になっても花を咲かさない。
倉敷真弓は、渋谷星璃華と生徒会副会長の河原町夕日(かわらまちゆうひ)とともに、その現象を調査することに。
スローガンは『咲かぬなら 咲かせてみせよう 桜の木!』
見どころ
本書は全10章で構成されているアンソロジー小説となります。
メインは悲劇的な逸話のある、花を咲かせない桜の木にまつわる話ですが、各章ごとに物語の中心となる人物がいて、それぞれに恋愛、劣等感、嫉妬、孤独などの悩みがあります。
そして、少年少女らはそれらに向き合い、時には逃げようとしながらも友人たちの助けを借りて乗り越えていきます。
各章がほぼ独立した話となっていて、短くまとめられているのですが、内容はギュッと詰まっており、一話読み終えるごとに余韻を感じさせます。
思春期の少年少女たちの等身大の悩みを感じて涙すること間違いなしです。
こんな人におすすめ
最近感動してないな、仕事や勉強ばっかりだよ。
そんな乾いた生活をしている人におすすめです。
見どころでも触れましたが、本書は各章ごとに独立していてサクサク読み進められるので、忙しい人でも隙間時間に読めます。
また、各章ごとに悩みの種類が異なるので、読む人によって感動する場面が違うと思いますが、どれか一つは刺さる話があるはずです。
私は、バレーボール部と友達レンタル部の話で泣きました笑
そして、メインの桜の木。 その結末はとても切ないものですが、今、生きているこの瞬間を大事にしないといけないと思わされました。
感動に飢えている人はぜひ一読を!
説明がつかない現象の総合評価と感想
総合評価:★★★★☆(4.5)
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★☆ |
| テーマ性 | ★★★★★ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| 読後感 | ★★★★★ |
「枯れていないのに、三年前から花を咲かせない桜の木」——その謎を軸に、思春期の少年少女たちの悩みを描いた全10章の青春アンソロジーでした。オカルト好きの倉敷真弓が生徒会の面々と桜の謎を追う本筋をベースに、各章ごとに主役が入れ替わる構成がとても巧みです。
恋愛、劣等感、嫉妬、孤独——各章の少年少女が抱える悩みは、どれも等身大でリアル。彼らが時に逃げ出しそうになりながらも、友人の力を借りて一歩ずつ乗り越えていく姿に、何度も胸を打たれました。一話ごとに短くまとまっているのに内容はぎゅっと濃密で、読み終えるたびに深い余韻が残ります。
思春期特有のヒリヒリした感情に寄り添ってくれる、読後に涙がにじむ一冊。青春小説が好きな人、心に染みる短編集を読みたい人におすすめです。


コメント