【書評】よるのばけもの(住野よる)あらすじと感想|中学いじめと「同調圧力」を描く感動の青春小説

青春

よるのばけもの

著者:住野よる
出版社:双葉社

あらすじ

——夜になると、僕は化け物になる。——

中学3年生の主人公「安達」は夜になると、目が8個、足が6本ある黒い粒の異形の化け物になる。

ある日、安達は学校に忘れ物をしたため、異形の姿で学校に侵入し、自分の教室へ入るとそこにはクラスメイトの「矢野さつき」がいた。

「矢野さつき」はクラスでイジメを受けていたため、安達とは交流はなかったはずだが、異形の化け物を見てすぐにそれが安達であることに気が付く。

そして安達に対して、異形の化け物が安達であることを隠す代わりに、矢野さつきが夜に学校に来て「夜休み」をしていることを隠してほしいと持ちかける。

その日から、安達と矢野さつきは「夜休み」を通じて交流を深めていくことになる。
 

見どころ

本書の見どころは、安達と矢野さつきとの交流と、それによって変化していく主人公の気持ちです。

当初、安達は矢野さつきを単純に「いじめられているクラスメイト」という認識しかしていませんでした。彼女がいじめられているのを見ても「自分も巻き込まれないようにしないと」という一心で、積極的ではなくともいじめに加担するような立ち位置だったのです。

しかし、「夜休み」を通じて矢野さつきと交流を深めていく中で「なぜ、矢野はいじめられているのか」「なぜ彼女はいじめられてもヘラヘラと笑っているのか」と疑問を抱くようになります。

その心境の変化により、それまでの日常が「非日常的である」ことに気が付く過程は、胸を締め付けられるような切なさと悲しさを感じることができます。

そして、最後に安達がする選択の結果は……

こんな人におすすめ

本書では中学校でのいじめをテーマに、「同調圧力」や「個性との向き合い方」が感動的に描かれています。

まさに今、学生の方や、社会に出てからも周囲からの「同調圧力」にさらされている方には、ぜひ本書を読んで一歩を踏み出す勇気をもらいましょう!

かくいう私も学生時代には本書のような空気感を感じたことがあるので、作品を読みながらとても感情移入をすることができました。

そして、矢野さつきがいじめを受けながらも笑う理由——。

それを知った時は、切なくて涙が出てきました。

笑う理由を知った後で最初から読み直すと、さらに矢野さつきの気持ちを知ることができます!

私は2回読みました!笑

みなさんもぜひ一読を!

よるのばけものの総合評価と感想

総合評価:★★★★☆(4.0)

評価項目点数
ストーリー★★★★★
テーマ性★★★★★
読みやすさ★★★★☆
読後感★★★★☆

「夜になると化け物になる」というファンタジックな設定で始まりながら、描かれるのは中学のいじめと「同調圧力」というとても現実的でヒリヒリするテーマ。そのギャップが、かえって問題の重さを静かに、深く照らし出す一作でした。

いじめに加担こそしないものの、巻き込まれないよう見て見ぬふりをしていた安達。彼が「夜休み」を通じて矢野さつきと交流するうちに、「なぜ彼女はいじめられても笑っているのか」と考え始め、当たり前だった日常が実は歪んでいたことに気づいていく——。その心境の変化の描き方が本当に丁寧で、胸を締め付けられました。

そして、矢野さつきが笑う理由を知ったとき、私は切なくて涙が出てきました。その理由を知ってから最初に戻って読み返すと、彼女の言動の一つひとつがまったく違って見えてきます。学生の方はもちろん、社会に出てからも同調圧力を感じているすべての人に——一歩を踏み出す勇気をくれる、おすすめの感動青春小説です。

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