【書評】ダブル・ジョーカー(柳広司)あらすじと感想|『ジョーカー・ゲーム』続編のスパイ・ミステリー

ミステリー

ダブル・ジョーカー

著者:柳広司
出版社:角川文庫

目次(章構成)

  • 第一章 ダブル・ジョーカー
  • 第二章 蝿の王
  • 第三章 仏印作戦
  • 第四章 棺
  • 第五章 ブラックバード
  • 特別収録 眠る男

あらすじ

 日本陸軍内に極秘に設立された「D機関」、その戒律は 「死ぬな、殺すな、とらわれるな」——

 D機関設立から一年が過ぎた頃、陸軍No.2の阿久津中将主導のもと、陸軍内に新たな諜報機関が創設される。

 その機関は指揮官の風戸哲正(かざとあきまさ)陸軍中佐の名前から「風機関」と呼称され、その戒律は 「躊躇なく殺せ、潔く死ね」

 同じ諜報機関でありながら、異なる性質を持つ「D機関」と「風機関」。

 その二つの機関に、同じ任務が与えられた。

 その任務とは、かつて英国大使を務めた親英派の外交官「白幡樹一郎」(しらはたきいちろう)に、軍事機密資料である「統帥綱領」を盗読された可能性がある、というもの。近く、白幡に英国のスパイが接触するため、その確認と必要な対処を行うことであった。

 殺しを是とする機関と、死を避ける機関、果たして最後に任務を達成するのはどちらか…

見どころ

 本書『ダブル・ジョーカー』は特別収録を入れて全六章で構成されていますが、D機関員による視点は第五章のみで、それ以外の章は全てD機関と対立関係にある組織の視点であったり、事件に巻き込まれた民間人の視点だったりします。

 そのため、自らの意思で行動していたはずが、いつの間にか誰かに操られていた…という展開があり、改めてD機関員の優秀さと怖さを感じました。

 本書ではまさにそれが見どころで、この人がD機関員かな?と想像しながら読み進めると楽しめると思います。

 もちろん、D機関員視点の第五章もこれまでにない結末で驚きました!

こんな人におすすめ

 前作『ジョーカー・ゲーム』を読んだ人はもちろん、まだ読んでいない人には、まず前作から手に取ることを強くおすすめします。

 本シリーズは、スパイミステリーであり、その内容はとてもハードボイルドかつスタイリッシュ。誰がスパイなんだろうと考えながら読んでいると、あっと言う間に読み終わってしまいます。

 また、本書は六章構成で、一章ごとに物語が完結しているので、忙しい人にも読みやすい内容になっています。

 日常から離れた、スパイたちの暗躍を感じたい方はぜひ本書を一読してください!

ダブル・ジョーカーの総合評価と感想

総合評価:★★★★☆(4.5)

評価項目点数
ストーリー★★★★★
設定・世界観★★★★★
読みやすさ★★★★☆
読後感★★★★☆

『ジョーカー・ゲーム』の続編にあたる本作では、「死ぬな、殺すな、とらわれるな」のD機関に対し、「躊躇なく殺せ、潔く死ね」という真逆の戒律を掲げる「風機関」が登場。正反対の二つの諜報機関に同じ任務が下る構図が、シリーズに新たな緊張感を加えています。

本作の面白さは、その視点の取り方。全6章のうちD機関員視点は第五章のみで、他は敵対組織や事件に巻き込まれた民間人の視点で語られます。そのため「自分の意思で動いていたはずが、いつの間にか誰かに操られていた」という展開が生まれ、改めてD機関員の優秀さと“怖さ”を思い知らされました。

「この登場人物が、実はD機関員では?」と推理しながら読むと二倍楽しめます。もちろんD機関員視点の第五章も予想を超える結末で驚きました。前作を楽しんだ人はもちろん、どんでん返しの効いた知的なスパイ・ミステリーが読みたい人におすすめです。

本作『ダブル・ジョーカー』は『ジョーカー・ゲーム』の続編です。まだ前作を読んでいない方は、D機関の世界を一から味わえる第一作から読むのがおすすめです。

【書評】ジョーカー・ゲーム(柳広司)あらすじと感想|硬派なスパイ・ミステリー
死ぬな、殺すな、とらわれるな。戦時スパイたちの緊迫の諜報戦書評。

シリーズは第三作『パラダイス・ロスト』へと続きます。これまで謎だったスパイ・マスター結城中佐自身に迫る、ファン待望の一作です。

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