青天
著者:若林正恭
出版社:文藝春秋
あらすじ
1999年、東京都内にある総大三高の三年生である中村昴(なかむらすばる)は引退を控え、最後の大会である東京都アメリカンフットボール春季大会に出場するも、第一試合の相手は強豪校である遼西学園であった。
強豪とはいえ、一縷の望みをかけて試合に挑むも強豪校の壁は高く、遼西学園のエース伊部(いべ)の強烈なタックルの前になすすべもなく惨敗する。
引退試合を惨めな形で終えた中村昴は気力を失い、なんのために生きているのか分からなくなり、堕落した生活を送ることになる。
そこに二年生の新しくキャプテンになった後輩である高山(たかやま)が「一緒に、秋大で出ませんか?」と問いかける。
大学受験を控えた三年生がすでに引退していることもあり、復帰するか悩む中村昴だが後悔を残さないためにも部活への復帰を決意する。
見どころ
本書は思春期の少年ならではの、友人関係、進学や就職などの未来への不安と葛藤、そして、それらに対し主人公なりに考え、間違って、立ち止まり、そして前を向く過程が泥臭く描かれています。
そして主人公が悩んだ時に、倫理の先生に対して質問しに行くことがあるのですが、そのやり取りは哲学的で非常に考えさせられます。
序盤、中盤はハラハラさせられますが、最後には主人公は自分なりに答えを見つけることになるので、ぜひ最後まで読んでください。
こんな人におすすめ
かつて部活動に打ち込んでいた大人たちにこそ、読んでほしいと思います。
本書の舞台である1999年当時にまさに高校生だった人には、懐かしさを持って読んでもらえる内容です。
まさに青春小説と言える内容で、読み終わった後にはスッキリすること間違いなしの一冊になっています。
青天の総合評価と感想
総合評価:★★★★☆(4.0)
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★☆ |
| テーマ性 | ★★★★★ |
| 読みやすさ | ★★★★☆ |
| 読後感 | ★★★★☆ |
引退試合で強豪校に惨敗し、生きる意味を見失ってしまったアメフト部の主人公・中村昴。堕落した日々を送る彼が、後輩の誘いをきっかけに「後悔を残さないために」もう一度立ち上がる——思春期ならではの不安と葛藤を、泥臭く描いた青春小説でした。
友人関係、進路への迷い、将来への漠然とした不安。そのどれもに対して、主人公が悩み、間違え、立ち止まりながらも、自分なりに考えて前を向いていく過程がとてもリアルです。特に、彼が倫理の先生と交わす哲学的な問答は考えさせられるものがあり、単なるスポーツ青春ものに留まらない深みを与えています。
序盤・中盤はハラハラさせられますが、最後に主人公は自分なりの「答え」にたどり着きます。もがきながら成長する等身大の青春が読みたい人、スポーツ×人間ドラマが好きな人におすすめの一冊です。


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