【書評】ノウイットオール あなただけが知っている(森バジル)あらすじと感想|芸術的な伏線回収の連作短編集

ファンタジー

ノウイットオール あなただけが知っている

著者:森 バジル
出版社:文藝春秋

目次(章構成)

  • 第一章 推理小説「探偵青影の現金出納帳」
  • 第二章 青春小説「イチウケ!」
  • 第三章 科学小説「FUTURE BASS」
  • 第四章 幻想小説「ラクア=ブレズノと死者の記憶」
  • 第五章 恋愛小説「恋と病」
  • エピローグ

あらすじ

暴力団に超高額な依頼料を突きつける女性名探偵。 M-1を目指す高校生コンビ。 未来人から狙われる女子高校生。 魔界を追放された魔法使い。 人に言えない事情で失恋続きの30歳女性。

同じ街に暮らす近くて遠い人たちが紡ぐ、「いびつで、熱量があって、泣ける物語」。

見どころ

本書は各章ごとに主人公となる人物が存在し、物語もそれぞれキッチリと終結を迎えます。

しかしながら、同じ街で起きている事件や出来事を介して、各章は少しずつ共鳴していきます。章と章が連動し、新たな物語が紡がれていくのです。

第二章の通行人が他の章の主要人物であったり、第三章のちょい役が第四章で重要な役割であったり……

前章では主人公視点でしか物語を捉えることができませんが、次の章では別視点で同じ事件や出来事を感じられます。

その別視点はとても新鮮で刺激的でした。

特に第五章とエピローグでの各章の伏線回収は見事の一言に尽きます!!

こんな人におすすめ

本書は……ミステリー?青春?SF?ファンタジー?恋愛?

……答えは全部です!!

驚きますよね?しかし本当にそうなんです。芸術的なまでに全てのジャンルがうまくハマって物語を彩り、時にコミカルに時にシリアスに、時に切なくそしてテンポよく読み進めることができます。

私が一番好きな章は……第二章の青春小説です!!

M-1を目指す高校生コンビが眩しくて、心の中でめっちゃ応援しました笑

その結末は涙なしには語れません!!

あらゆるジャンルが網羅されているので、どんな人にもおすすめです!

ぜひ、一読を!!

ノウイットオールの総合評価と感想

総合評価:★★★★☆(4.5)

評価項目点数
ストーリー★★★★★
構成・仕掛け★★★★★
読みやすさ★★★★★
読後感★★★★☆

「ミステリー?青春?SF?ファンタジー?恋愛?——答えは全部」という、5ジャンル全部入りの連作短編集。欲張りな設定なのに、どのジャンルも絶妙にハマっていて、時にコミカル、時にシリアス、時に切なく、テンポよく読めてしまう一冊でした。

各章はそれぞれ別の主人公の物語として完結しますが、同じ街で起きる事件や出来事を介して少しずつ共鳴していくのが本作の肝。前章では主人公視点でしか見えなかった出来事が、次章では別人物の視点で立ち上がってくる——その新鮮さと刺激が癖になります。第二章の通行人が別章の主要人物だったり、第三章のちょい役が第四章で重要な役割を担ったり……そして第五章とエピローグでの伏線回収は見事の一言。

個人的に一番好きだったのは、第二章の青春小説。M-1を目指す高校生コンビが眩しくて、心の中で全力で応援してしまいました(結末は涙なしには読めません)。あらゆるジャンルが詰まっているので、どんな読者にもおすすめできる、技巧と熱量を兼ね備えた一冊です。

著者・森バジルさんの作品では、伏線が巧みな連作ミステリー『探偵小石は恋しない』もおすすめです。あわせてどうぞ。

【書評】探偵小石は恋しない(森バジル)あらすじと感想|伏線が読み返したくなる
森バジル『探偵小石は恋しない』の書評・感想。名探偵に憧れながら色恋調査ばかりの探偵と助手が挑む、冒頭から謎が散りばめられた伏線ミステリ。読み終わって最初から読み返したくなる一冊です。

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