名探偵再び
著者:潮谷験
出版社:講談社
目次(章構成)
序章
第一章 消えたポラロイド
第二章 悪王の死
第三章 無意味な足跡
第四章 密室毒薬遊戯
終章 月とナイフ
あらすじ
1993年、私立雷辺(らいへん)女学園高等学校で大浴場昏倒事件、美術室殺人事件、グラウンド雪密室殺人事件などが連続して発生し、それを雷辺女学園の生徒である「時夜遊」(ときやゆう)が天才的な推理能力で次々と解決していく。
しかし、時夜遊は一連の事件の黒幕である「M」と共に学園の近くにある滝壺に転落し、命を落とす。雷辺女学園ではその悲劇的な幕引きもあり、彼女のことは伝説として語り継がれることとなった。
そして、時は流れて2023年春。「時夜遊」を大叔母に持つ「時夜翔」(ときやしょう)が私立雷辺女学園に入学し、名探偵の親族が入ってきたということで、時夜翔は一躍時の人となる。
しかし、時夜翔は大叔母ほどの推理能力を持ち合わせておらず、何事もなく三年間の学園生活を送ることを望んでいたが、30年前を彷彿とさせる事件が次々と発生し、その解決へと駆り出されるのであった。
見どころ
本書の見どころは、主人公「時夜翔」が自身が凡才であることを理解しつつも、「ちやほやされたい」という俗な理由から、周囲には偉大な大叔母の後継者であるように振る舞うところです。
時夜翔には事件を自力で解決する能力はなく、事件発生のたびに表面上は冷静沈着を装い、内心ではとりあえずその場を乗り切るために脳みそをフル稼働させており、その描写は思わず笑ってしまいます。
しかし、結果として、あらゆる手段を使って事件を解決するのですが、その過程は名探偵というには泥臭いもので、それが逆に魅力的に映ります。
こんな人におすすめ
ミステリーは好きだけど、重いのは嫌!気軽に読めるミステリーを探している人に、本書はピッタリです。
内容はミステリーそのものですが、主人公を含め、個性的な登場人物ばかりで、その会話には思わず笑いがこぼれます。
それでいて伏線もしっかりと張り巡らされており、私は最後まで読んだあと、すぐにもう一度最初から読み直してしまったほどです。
最後には驚きの展開が待っているので、ぜひ、一読を!
名探偵再びの総合評価と感想
総合評価:★★★★☆(4.0)
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★☆ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| ユーモア | ★★★★★ |
伝説の名探偵だった大叔母の“後継者”として祭り上げられた、凡才の主人公・時夜翔。本当は推理の才能なんてないのに、「ちやほやされたい」という俗な動機で名探偵を演じ続ける——この設定がとにかく可笑しくて、潮谷験さんの新しい一面を見た気がしました。
事件が起きるたび、表面は冷静沈着を装いながら、内心は「どうやって乗り切るか」で脳をフル回転させる翔の描写に、思わず笑ってしまいます。それでいて、あらゆる手を尽くして最終的にはちゃんと事件を解決してしまうのだから立派。その過程が名探偵らしからぬ泥臭さで、そこが逆にたまらなく魅力的です。
シリアスな本格とはひと味違う、肩の力を抜いて笑いながら楽しめる学園ミステリー。軽やかなミステリーが読みたい人におすすめです。
潮谷験さんの作品は、どれも設定も作風も様々で飽きません。他の作品が気になった方は、おすすめ全5作のまとめをご覧ください。



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