クスノキの番人
著者:東野圭吾
出版社:実業之日本社
あらすじ
月郷神社内には大きなクスノキがあり、そのクスノキに願いごとをすると願いが叶うという言い伝えがある。
そして、主人公である直井玲斗(なおいれいと)は、犯罪を犯して警察署に勾留中のところ、伯母である柳澤千舟(やなぎさわちふね)から釈放と引き換えにクスノキへの祈念を取り仕切る「クスノキの番人」になることを持ち掛けられる。
クスノキの番人になることを了承した直井玲斗は、神社内の清掃やクスノキへの祈念受付をしているうちに、祈念する人は満月の夜と新月の夜に多くいることに気づく。
そして、クスノキに頻繁に祈念をしに来る父「佐治寿明」に疑念を抱く女子大学生「佐治優美」と出会い、その女子大学生の手伝いをすることになる。
見どころ
本書の見どころはなんと言っても主人公である直井玲斗の成長にあると思います。
彼は小学生の時に実母を失い、それ以降は祖母と二人で質素に生活しており、物心がついた時から父親がいないという家庭環境のため、自己肯定感が非常に低くなっていました。
しかし、母の異母きょうだいである柳澤千舟と出会い、クスノキの番人として祈念に来る人たちとの交流を経て、人間として成長していくことになります。
直井玲斗は、佐治優美の調査を手伝う中で様々な真実や出来事と直面していきますが、それは家族に対する愛情の他にも嫉妬や羨望、強い後悔などもあり、それらと向き合うことで直井玲斗は自身の出生に関わることと折り合いをつけて前に進むことになります。
特に終盤の「佐治寿明」がクスノキに祈念をしていた理由がわかった時と、直井玲斗が心から「クスノキの番人」であることを柳澤千舟から引き継いだ時には感動すること間違いなしです。
こんな人におすすめ
東野圭吾先生のファンはもちろん、感動小説を探している人は必見です。
序盤は主人公が未熟なため、ハラハラドキドキしますが、柳澤千舟と出会い、クスノキの番人になってからの成長は見応えがあり、中盤からページをめくる手が止まりません。
最近は涙を流すこともないなと渇いた生活をしているあなたへ、ぜひ本書を読んで思う存分涙を流して、メンタルのリフレッシュをしてください。
クスノキの番人の総合評価と感想
総合評価:★★★★☆(4.5)
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★★ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| 読後感 | ★★★★★ |
「願いごとが叶う」と言い伝えられる月郷神社のクスノキ。罪を犯して勾留されていた直井玲斗が、伯母・千舟の計らいでその「クスノキの番人」になるところから始まる——再生と家族愛を描いた、心温まるヒューマンドラマでした。
本作の軸は、主人公・玲斗の成長です。母を早くに亡くし、父も知らず、自己肯定感の低かった彼が、千舟や祈念に訪れる人々との交流を通じて、少しずつ人として成長していく姿に胸を打たれます。クスノキに秘められた不思議な仕組みの謎解き要素もあり、最後まで飽きさせません。
家族への愛情、そこに潜む嫉妬や後悔とも向き合いながら、玲斗が自分の出生と折り合いをつけて前を向く終盤は圧巻。読後に優しい気持ちになれる、東野圭吾さんの名作です。
『クスノキの番人』を楽しめた方は、続編『クスノキの女神』もおすすめです。番人となった玲斗のその後と、クスノキをめぐる新たな物語が描かれます。



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