【書評】同志少女よ、敵を撃て(逢坂冬馬)あらすじと感想|本屋大賞受賞の戦争小説

ミリタリー

同志少女よ、敵を撃て

著者:逢坂 冬馬
出版社:早川書房

あらすじ

 この小説の舞台は1945年第二次世界大戦中のソ連領内である。
 主人公であるセラフィマは、母親のエカチェリーナのほか故郷の村人たちを急襲してきたドイツ軍に殺され、そこに現れた赤軍所属の女性兵士「イリーナ」に命を救われる。
 しかし、イリーナに目の前で母の遺体を燃やされ、村そのものを燃やされたことからセラフィマはドイツ兵のみならず、イリーナに対しても復讐を誓う。
 その後、イリーナが教官を務める狙撃兵訓練学校で訓練を受け、イリーナを部隊長とする女性だけの狙撃兵部隊に所属し、戦地に赴くことになる。

見どころ

 主人公であるセラフィマは物語の初めは猟師の娘として、その精神性は普通の少女そのものであったが、イリーナによる狙撃兵になるための訓練と、実戦を経ての精神性の変容に考えさせられます。
 しかし、セラフィマは正義感が強く、それは物語を通して変わらず、それゆえに戦争の現実に直面して葛藤します。
 そして、注目してほしいのはイリーナとの関係の変化です。
 物語序盤に登場する「お前はいまどこにいる」という言葉は終盤にも出てきますが、その時に感じる印象は序盤とは真逆のものになっています。
 ぜひ、一読してみてください。

こんな人におすすめ

 戦争ものを読みたいけど、専門用語が多すぎるのは苦手、重い話は読みたくない。
 そんなことを思っているあなたにおすすめです。
 この書籍は、専門用語も多少はありますが理解できる程度ですし、題材が戦争ということもあり、悲惨な描写もありますが、あくまでメインは主人公の成長と戦争によってもたらされる変化への適応などで、後半になればなるほどサクサク読み進めることができます。

同志少女よ、敵を撃ての総合評価と感想

総合評価:★★★★☆(4.5)

評価項目点数
ストーリー★★★★★
テーマ性★★★★★
読みやすさ★★★★☆
読後感★★★★☆

第二次世界大戦下のソ連を舞台に、ドイツ軍に母と故郷を奪われた少女セラフィマが、女性狙撃兵として戦場へ身を投じていく——2022年本屋大賞を受賞した、読み応えのある戦争小説でした。

猟師の娘だった普通の少女が、過酷な訓練と実戦を通じて変容していく。その精神性の変化には深く考えさせられます。それでいて彼女の正義感は最後まで揺るがず、だからこそ戦争の残酷な現実との間で激しく葛藤する姿が胸に迫ります。

注目は、命を救いながらも母の遺体を焼いた教官・イリーナとの関係の変化。序盤に投げかけられる「お前はいまどこにいる」という言葉が、終盤に再び現れたとき、まったく逆の意味で胸を打ちます。重厚なテーマに真正面から向き合いたい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

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